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横井由美(よこいゆみ)

  • 愛知県出身。三重大学人文学部在籍中に、Michigan State University、UC Riverside、UC Berkeleyへ合計10か月程語学留学を経験。大学卒業後、アメリカジョージア州Albany State University大学院にて英語教育を専攻し、その後、ジョージア州にあるYKK株式会社米国法人に入社し、人事部、リサーチ部に勤務。また同グループの事業会社へ異動し、ケンタッキー州、カリフォルニア州、フロリダ州にて事業開発や営業を担当。合計10年間アメリカで働いたのち、日本へ帰国。日本では、粘着材料・ラベル製品および服飾資材分野の世界的トップメーカーであるエイブリィ・デニソンの日本法人にて営業、マーケットディベロップメントを担当。2014年には半年間の香港にて勤務。2015年1月よりドイツ法人のCustomer Design & Innovation Center(CDIC)マネージャーとして勤務。

  • 渡航先: アメリカ
  • 留学先学校名: Michigan State University、UC Riverside、UC Berkeley
  • 専攻:英語
  • 留学期間: 合計10ヵ月
  • 渡航先: アメリカ
  • 留学先学校名: Albany State University
  • 専攻:English Education
  • 留学期間: 2年
  • 渡航先:ベトナム
  • 留学先学校名: Ho Chi Minh City University of Social Sciences and Humanities
  • 専攻:ベトナム語
  • 留学期間: 1年

横井さんは、アメリカで語学留学を1年間、大学院留学を2年間されて、その後アメリカで日本の服飾メーカーであるYKKの現地スタッフとして10年働いた後に、日本に帰国されて現在まで、粘着材料・ラベル製品および服飾資材分野の世界的トップメーカーであるエイブリィ・デニソンの日本法人で勤務されているのですよね。また、ベトナムで語学留学を1年間されたとか。大変国際経験が豊富ですが、現在はどのようなお仕事をされているのですか?

エイブリィ・デニソンってほとんどの方がご存知ないと思いますが、服飾産業のニッチな世界トップメーカーなんですよ。洋服の値札やラベル、刺繍や織ネームの提案や製造を行っている会社で、飲料品や生活用品の粘着ラベルの提案と製造も行っています。現在では、世界60ヶ国に3万人の従業員を抱える国際企業でアメリカに本社があります。私は、その日本法人の社員として、グローバル展開をしている海外ブランドや海外展開を進めている国内ブランド向けにブランド価値を高めるタグやラベルの提案を行っています。去年は半年ほど香港に駐在し、営業、受注、生産、出荷、品質管理を含めた包括的な品質改善プロジェクトに参画しました。就業時間はあってないようなものですし、日本が夜でも他国では同僚やクライアントが働いていますし、日本が祝日でも他国は平日だったりします。夜中の電話会議もよくありますし、体が休まる気がしない時もあります。実は、今月からドイツ法人のCustomer Design & Innovation Center(CDIC)マネージャーになることが決まりましたので、明日ドイツへ出発します。

非常にグローバルなお仕事ですね。勿論、職場では英語でコミュニケーションを取るのでしょうか?

弊社は、いわゆるグローバルカンパニーであり、クライアント企業も外資系日系を問わずグローバル展開している会社が多いので、社内外で国を超えた連携やコミュニケーションが非常に大切になります。アメリカの会社なので、勿論、社内標準語は英語ですし、英語は話せて当然という職場です。外国人の同僚に「日本人の英語はよく理解できないが、Yumiの英語はわかりやすい」と言われることが多いのですが、正直、自分の英語力を褒められて嬉しいというより、日本人の英語力の無さを指摘されるほうにがっかりします。日本人は勤勉で能力もあるのに、英語ができないというだけで活躍の場所が限られているのが本当に残念です。また、日本人同志のように、ひとつ言えば、あとはあうんの呼吸で理解してくれるということはないので、海外の方と働く際には、要点をおさえて、全体を適切に説明しないと物事がうまく進みません。その英語力がないと聞き手に理解されません。

確かに、日本人の英語力は国際的にみても最低レベルですね。言語的に見ても日本語と英語には共通点がないので英語自体が日本人にとって難しいというのもありますが、やっぱり教育でしょうね。中学、高校と英語を6年勉強しても話せるようにはなりませんからね。横井さんは小さい頃から英語には興味を持って勉強していたのですか?留学のきっかけはなんだったのですか?

私は、愛知県の田舎出身で、田畑や金魚池の広がる濃尾平野の田舎で育ちました。両親はとくに教育熱心でもありませんでしたよ。高校3年時の三者面談で「この子は就職させてもいいと思っている」と母が担任教師に言ったのには驚きました。一方、祖母は、兄弟が多くおり、豊かでもなかったため、自分が学校に行きたくても行けなかった過去があり、小さい頃は私の勉強を手伝ってくれたりして、教育を受ける大切さを教えてくれました。大学受験の際には、残念ながら希望の大学に合格できず、浪人も許されず、滑り止めの大学に行くことになり、このままでは人生後悔すると思い、大学時代は「何か」してみたいと思っていました。たまたま大学で姉妹校(Michigan State University)の夏季短期語学留学のチラシを見たのがきっかけで、渡米し、アメリカの広大さと文化の違いに心を打たれました。また、今まで英語のテストではいい点数をとっていたにも関わらず、現地では全く会話が通じず、自らの英語力のなさを痛感しました。そこで、大学を1年間休学し、カリフォルニアで語学留学をしました。その後は、三重大学を卒業し、日本語教師プログラムの一環でジョージア州の大学院で2年間留学することになります。

では、アメリカでの留学は、1年間の語学留学と2年間の大学院留学の合計3年間ですね。留学されていたときには、何を専攻されたのですか?

UC Berkleyでの語学留学の時には、大学の授業を幾つか聴講させてもらいました。その中でSociolinguistics(社会言語学)という学問に出会い、大変興味を覚えました。日本でもアメリカでも地域独自の言語は方言として存在するが、アメリカには、その家族のルーツや、社会的地位、また人種によっても言葉が違うというものです。これは日本にはあまりありませんよね。特に、私は人種によって異なる英語を使うということに興味を覚え、三重大学でもBlack Englishについて卒論を書きました。日本語教師プログラム参加のための口頭試験では、Black EnglishのField Studyも兼ねてアメリカ南部の大学に行きたいと希望したところ、Albany State Universityに派遣されることになりました。この大学はキング牧師と同時期に活躍した黒人指導者W. E. B. Du Boisに触発されたJoseph Winthrop Holleyによって設立されたHistorical Black Universityであり、98%以上の生徒がアフリカ系アメリカ人です。それに留学生は主にアフリカから来ており、アジアからは私一人でした。はっきりと外国人留学生とわかるのは私だけでしたね。残念ながら、大学院の専攻としてLinguistics -Black Englishがなかったので、English Educationを専攻しましたが、周りは黒人の方ばかりでしたから、Field Studyとしては最高の環境でした。

アメリカ人の学生と生活されて、驚いたことや気づかされたことはありましたか?

Albany State UniversityはHistorical Black Universityなので公民権運動についての教育も熱心に行われていました。ある日、寮のドアを叩く音がして、扉を開けてみると、見知らぬ黒人の学生が立っていて、「クラスの課題のアンケートに答えてほしい」と言われたのです。そのアンケートを見ると、「今までマイノリティとして差別を受けてきたことがないか?」などという内容でした。私はずっと日本で生まれ育って、日本ではマジョリティとして生きてきたのですが、ここでは彼らと同じくマイノリティなんだな、とはっとさせられました。 また、とても仲の良かった友達に「Black Englishを研究したいので協力してほしい」ということを話したところ「Black Englishは私達のアイデンティティでもあるから、あなたにはいろいろ口を挟んでほしくない」と言われた時には、彼らの歩んできた道は大変だったんだなと痛感しました。

僕も同じような体験がありますね。アメリカに何年も住んでいると、何かしら差別を感じることはありますね。横井さんは、大学院卒業後は、同じジョージア州のYKKさんにお勤めされるのですが、どんな仕事をなさっていたのですか?

現地アメリカ法人のYKK Corporation of Americaに勤めたのですが、私にとってはこれが初めての社会人としての仕事でした。まずは人事部に所属し、日本人の駐在員の給与計算や現地での生活サポートを担当していました。経理については全くの無知でしたので、近くの大学の夜間クラスで勉強しました。州税を納める人は、無料でカレッジの授業を受講できるので多くの社会人が学んでいます。日本の大学と異なり、アメリカの大学は、結構年寄が多いのですよ。また、日本人駐在員やその家族とアメリカ人社員に対する"異文化トレーニング"では、私が教育学専攻だったこともあり、それぞれの国の文化(主にビジネス上の慣習)についてのトレーニングを始めました。

では、人事をその後もずっとされていたのですか?

いえいえ、そうではないのです。私は、日本の中で日本企業に勤めたことが今まで一度もないので、良く言えば、自分の意見をはっきりと言える、悪く言うと生意気なのですが(笑)、その頃、人事の仕事に慣れてきたので、当時の日本人の上司に「部下をつけてもらえれば、自分で駐在員の人事の仕事は回していけます」と提案したところ、「まだ若い」と一蹴されてしまいました。おもしろくないので、会社を辞めるつもりで転職先を探していたところ、それが現地法人の社長の耳に入り、「では、リサーチ部門を立ち上げないか」と声をかけてもらいました。北米の経済情勢や自由貿易協定FTA、経済連携協定EPAの動向とその影響、縫製業のシフト、取引先の財政状況などについて毎月ニュースレターを作成し、社内からの問い合わせについても調査しました。なにもないところからの立ち上げでしたが、完全に任せてもらえたので大変やりがいを感じていました。若気の至りという感じでしたが、禍転じて福と為りましたね(笑)。

若い頃ってそうなんですよね。でも、日本の社会だと、それで押しつぶされる若者が多く、どんどん覇気がなくなっていくのですが、横井さんは理解のある社長に会えてラッキーでしたね。

はい、ラッキーでした。会社を辞める寸前でしたからね。また、アメリカでは自分の意見をはっきりと言わないと無能な人間だと思われますからね。その後は、持ち株会社から事業会社のほうに異動させていただき、メキシコ工場の立ち上げや、カリフォルニア州やフロリダ州での営業を担当しました。メキシコ工場の立ち上げでは、工場建設プロジェクトメンバーとして、外部弁護士と法的な手続きを進めました。その時は、以前のリサーチ部で培った貿易協定などの知識が役に立ちました。営業では、西海岸のブランド(LA Premium Denimブランド、Levi's, Gap, Eddie Bauer, The North Face, Nordstrom, Gymboree, Guess, Nike, Patagoniaなど)を担当しました。LAのスタッフやメキシコのスタッフと連携し、ジッパー部門との協業も行い、既存ビジネスの確保や新規ビジネスの獲得を行いました。お客さんとのコミュニケーション同様に、社内での連携が大切でしたね。

海外で働くうえで、大切なことは何でしょう?

文化や習慣の違う人達と意志を通じ合うようになることは非常に大変です。意思疎通ができないと何も進みません。コミュニケーションツールとしての外国語習得は必須ですし、彼らの文化や習慣を受け入れた上で、どう話し、どう行動すれば理解してくれるか真剣に考えないといけません。

留学は、横井さんのキャリアにとってプラスになりましたか?

非常にプラスになりました。日本の大学を卒業したことは、特に何かプラスになったとは感じていませんが、留学していなければ現在のようにグローバルな企業で働くこともなかったですし、今回のようにドイツへ赴任する機会もなかったでしょう。キャリア以外でも、海外に多くの大切な友人をつくることができましたし、貴重な経験ができました。

横井さんの今後の目標を聞かせてください。

今後は、更に色々な国で働いてみたいです。人生限られた時間しかないので、その中で多くの人に出会い、新しいことを習得していきたいです。

意欲的ですね。では、最後に、留学を目指す方へのメッセージをお願いします。

すでにグローバル化が進んでいます。グローバルに働くためには語学力が必須となってきます。大変残念なことに、日本語は日本でしか通用しません。日本でも外国語の勉強はできますが、通用する語学力を養うためには留学が最短の道です。留学することで他国の慣習を身につけることもできますし、海外の方とも友人になれます。最初の一歩を踏み出すことは勇気が要りますが、行ってみれば世の中にはいい人がたくさんいます。私もいろいろな国に行きましたが、どこに行っても良い人に助けられてきました。これからドイツでの生活が始まりますが、ドイツでも良い人達と出会えると信じています。みなさんも日本から飛び出て、いろんな経験をし、たくさんの良い人達と出会って下さい。

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